ブライダル撮影の仕事についてちょっと詳しく解説していくシリーズ【その3】です。 初回はエンドロールと記録撮影の違いについて、その2ではエンドロール制作の舞台裏と一日のタイムスケジュールをご紹介しました。今回は記録撮影の一日と、その後、映像を編集して納品されるまでのお話です。
3-1. 記録カメラマンの一日
私の場合、撮影開始の2時間前には会場に入り、ロケーションや動線の確認、カメラや音声機材の準備を行います。
お仕度上がりから撮影を開始し、披露宴の終了まで5時間ほど、休む暇なく撮影を続けます。
往々にして披露宴は予定より伸びますし、送賓終了後にも少し撮りますので、実際はもうちょっと長くなることが多いです。
30分くらいで機材片付けを済ませて、会場を後にします。
前回の話と比べていただくとわかるかと思いますが、エンドロールよりも撮影時間が長いです。
また、エンドロール撮影ではやらなくてよいけれど、記録撮影ではやる、ということが3つあります。
1つ目は、披露宴会場の音響業者さんの機材からケーブルを引かせてもらってマイク音声を収録すること。
2つ目は、お二人の中座中などにゲストからお祝いメッセージをいただくこと。
3つ目は、常に音の切れ目を意識してカットの切れ目を決めること。
そんなわけで、時間が長いし気に掛けることが多いし、記録撮影の方が体力的にも精神的にもハードです。
その分、お二人のことをよりよく知って考えた撮影ができる気がしています。
人柄に触れた映像づくりができると、お二人にとっても記憶に残るものになると思いますし、私も嬉しいです。
3-2. 編集から納品まで
さて、無事撮影を終えて自宅に帰ってきたら、まずはその日のうちにデータをパソコンに移して保存します。
どんなにクタクタでもこれはなるべく早いうちに、確実にやっておきたい作業です。
メインPCのハードディスクの他に、データ保存用の外付けハードディスクにもコピーを取ります。
データが消えてしまったらどうしようもないので、必ず二か所以上にデータが存在している状態にしています。
たくさん食べてたくさん寝て、疲れが取れたら編集に取り掛かります。
映像編集には、実際の撮影時間の2~3倍時間がかかります。
ひと両家だいたい5時間の撮影ですから、10~15時間かけての編集となります。
なににそんなに時間がかかるのか見ていきましょう。
まず最初に撮影データを全部見ながら要らないところを外していく作業があります。ひどくブレているところ、ピントが合っていないところ、録画をまわしっぱなしで歩いているところなど、使えない部分のカットですね。ここまでで3時間。
次に、音声の調整をします。特にスピーチが聞き取りやすくなるように、音量を細かくいじったりなんやかんや細工していきます。これで2~3時間。
その後、見やすくなるようにカットする位置を調整したり、違和感のない範囲でカットの順番を入れ替えてシーンの印象をまとめたり、色味や明るさが極端に違うところにエフェクトをかけて直していきます。これはもうこだわったらこだわるだけ時間がかかります。4~10時間。
最後にちょっとテロップを入れ、チャプターマーカーを打って、最終通しチェックでもう1時間くらい。
編集が終わったら、ディスクに書き出します。設定をして書き出しボタンを押せばあとはPCが頑張ってくれるので数時間休憩。
書き出したディスクがきちんと焼けているかどうか、一枚ずつメディアプレーヤーで再生確認をします。パソコンの調子が悪いとノイズが乗ったり再生途中で止まってしまう不良品ディスクが焼きあがることがあるので、しっかりチェック。これもやっぱりまた1時間くらいかかります。
最後にパッケージングして、納品となります。
結婚式のカメラマンは平日別の撮影仕事をしていたり、全く他業種の仕事をしている人もいます。
編集作業量的には2日あれば終わるのですが、スケジュールの合間を縫って進めています。
そんなわけで、納品までに1~2か月ほど期間をいただいている業者さんがほとんどなのですね。
於鳥制作所でも、基本的には1か月後の納品とさせていただいております。
3-3. ちょっと生々しいお金の話
結婚式のビデオ撮影高いなー、と思われる方も多いと思います。
インターネット検索をしてみると、格安をうたっている持ち込み業者さんで45,000円くらいから見つかりますね。
於鳥制作所でお作りする場合は、参考価格65,000円という感じです。
会場提携の業者さんだと、会場側の仲介費も乗っかってくるので、概ね10~25万円の商品になっていると思います。
撮影拘束時間7.5時間~9時間、編集時間10~15時間、納品確認1時間。1本の映像を仕上げるまでに、1人の技術者が24時間くらいかけて一生懸命作っています。自分の結婚式を、24×時給にしていくらのカメラマンに撮られたいですか?安すぎても不安では?というのが一つ。
それから、撮影編集機材、交通費、パッケージング資材、郵送納品費なんかもかかることを合わせて考えると、なんやかんやお高くなってしまいがちであることに、納得していただけるのではないかなと思います。
と、ちょっと言い訳めいた感じになってしまいましたが、実際、業者に頼むと圧倒的に仕上がりが違います。
「写真は見るけど、映像は絶対見ないでしまい込んじゃうだけだわ」という方は無理に注文しなくてよい商品ですが、もし映像を残したいのならば是非プロに頼んで欲しいなと思います。私も責任をもって、価値ある映像をお作りしています。安心してお任せください。