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構図研究 『宇宙よりも遠い場所』 10話より

前回のブログで、上手くなるためには「とにかくたくさんの映像を見て、考えて、感覚を養うこと」とベテランカメラマンさんから教えてもらった話を書きました。じゃあ実践してみようということで、映像や写真を見て、なんとなくいいなと思ったシーンがあったら自分で描き写してみて、何がどういいと思ったのかを考えてみることにしました。

 

勉強になるついでにブログに困った週でも無限にネタが出てくるし、そんなに時間がかからない! 我ながらいいアイディアですとも。

 

はい。今回は、ついこの間まで放映されていたテレビアニメ『宇宙よりも遠い場所』の10話、18分くらいのシーンから。画面右奥で椅子に座り背を向けてうつむいている人物と、左手前でベットの梯子に腰かけている人物ふたりが会話をします。

まず右奥の人物に注目してみます。右奥の人物は思い悩み、落ち込んで、孤立した心境です。

 

画面の一番奥で背を向けて、小さく映すことで、その人物の不安や孤独を表現しています。

また、パースに注目すると、収束点がこの人物の膝裏あたりに来ます。下がって奥に向かっていく印象のラインが周りを取り囲んでいて、この人物を中心にしながらぐっとアイレベルを下げて映すことで、不安定な心境を表現しているように思います。

次に左手前の人物に注目してみましょう。左手前の人物はいたって前向きに、右奥の人物をなだめ、励ましに来ています。

 

二人の間に走る縦のライン、壁の模様から机の脚を繋いだ線が、絵の印象を左右できれいに二分する役割を果たしています。この人物の周りには手前に伸びてくる印象のラインが取り囲んでいます。

また、二人の間の心理的な距離感が、広角のレンズで写し出されています(望遠だと距離はギュッと圧縮されますね)。広角レンズ手前は躍動感ある印象が強くなる位置取りです。あごのラインや前髪のラインにアオって撮ってる感じがよく出ています。人物をアオリで撮ると力強い印象となりますね。

絵が下手なのはご容赦ください。パッと見て「なんかこのシーン好き」と思ったものの、何がいいと具体的にわからなかったのですが、実際に自分で描き写してみることで気が付いたことがたくさんありました。下手でも描いてみると楽しいです。

 

『宇宙よりも遠い場所』は現在アマゾンプライム(月額400円見放題)で見られますから、気になった方はぜひ見てみてくださいね。南極を目指す高校生四人の青春物語です。